日本集中治療医学会雑誌
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15 巻 , 2 号
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今号のハイライト
解説
  • 武澤 純
    2008 年 15 巻 2 号 p. 171-178
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/11/01
    ジャーナル フリー
    近年,病院を取り巻く社会環境は大きく変化しつつあり,それに対応して医療供給システムも変革が迫られている。これはICUにおいても同様であるが,これまでICUにおける診療パフォーマンスに関しての評価は行われておらず,ICUでの医療の質や安全に関して,学会が積極的に取り組んできたとは言い難い。診療パフォーマンスの評価は医療の質と安全の改善や診療報酬の適正化のために極めて重要であり,diagnosis procedure combination(DPC)制度の導入により実現可能となってきた。そしてICUは,重症度分類が進んでおり患者アウトカムが比較的明らかであること,大量の医療資源が投下される一方,施設によるバラツキが大きいことなどから,近い将来の導入が見込まれる。その場合,診療パフォーマンスの評価は構造,プロセス,アウトカムに基づき,重み付けを行って総合的に係数化する方法(機能評価係数化)が考えられる。本稿では,ICUにおける診療パフォーマンスの評価と,その診療報酬への反映について考察した。
  • 卯野木 健, 芹田 晃道, 四本 竜一
    2008 年 15 巻 2 号 p. 179-188
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/11/01
    ジャーナル フリー
    人工呼吸患者管理において鎮静深度のコントロールは非常に重要であり,そのためのツールは信頼性,妥当性に富み,使用が容易でなければならない。現在,主観的な鎮静スケールが多く使用され,Ramsay Scale,Sedation-Agitation Scale(SAS),Motor Activity Assessment Scale(MAAS),Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS)が,成人患者に対して用いられる代表的なスケールである。本解説ではそれら4つのスケールに関し,文献を用いて総合的に検討した。Ramsay Scaleは古く,現在でも広く使用されているが,妥当性の検討は限られており不穏のスケーリングができないため,現在のICU管理には適さない。SAS,MAAS,RASSは不穏のスケーリングが可能であり,いずれも信頼性,妥当性の評価が行われているが,SAS,MAASにおけるそれらの評価は限られたものである。RASSは最も多くの側面から信頼性,妥当性の評価が検討されており,現時点では最も有用なスケールであると言える。
原著
  • 金田 浩太郎, 金子 唯, 小田 泰崇, 井上 健, 鶴田 良介, 笠岡 俊志, 前川 剛志
    2008 年 15 巻 2 号 p. 189-195
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/11/01
    ジャーナル フリー
    目的:当センターで血管内冷却システムを導入し,従来の体表冷却との間でその有用性を比較検討した。方法:心肺蘇生に成功して脳低温療法を実施した患者を対象とした。血管内冷却群は6例,体表冷却群は12例であった。来院から目標温到達までの時間,目標温と実際の体温の差を意味するaverage thermal burden(ATB)を比較した。結果:来院から目標温到達までの時間は血管内冷却群で249±91分,体表冷却群で407±157分であり,後者に比較して前者で短い傾向が認められた。ATBは両群の体温維持期(0.03±0.02 vs. 0.32±0.16:P<0.001),復温期(0.12±0.04 vs. 0.34±0.16:P<0.05)ともに血管内冷却群で有意に小さかった。また血管内冷却システムに起因する合併症は認められなかった。結論:血管内冷却法は従来の体表冷却法による体温管理に比べ優れていると思われる。
  • 富田 敏司, 藤野 裕士, 内山 昭則, 平尾 収, 真下 節
    2008 年 15 巻 2 号 p. 197-204
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/11/01
    ジャーナル フリー
    濾過型人工腎臓用補液を24時間ごとに追加し,10 ml·min−1の流速で96時間連続して流した時の回路内の結晶析出,電解質濃度·ガス分析及び不溶性微粒子について調べた。その結果,ローラーポンプ入口には結晶を認めなかったが,出口には結晶を観察した。ローラーポンプの押圧刺激が薬液に加わるとHCO3の分解が促進すると考えられるため,CO32−とCa2+が反応して,出口にCaCO3の結晶を析出させたと考えられる。回路内圧を高くすると結晶析出は減少したが,100 mmHgでは48時間後から結晶が観察され,経過時間と共に増加した。薬液のガス分析結果は,24時間ごとに変化したが,96時間一定範囲内であった。電解質濃度及び不溶性微粒子数も96時間変化なく,通常の薬液が流れていた。しかし,析出した結晶が血液中に入る危険性があるため,濾過型人工腎臓用補液を使用する際の回路は,結晶が析出する前に交換することが推奨される。
看護原著
  • 井出 恵伊子, 梅田 亜矢, 小川 めぐみ, 佐藤 顕子
    2008 年 15 巻 2 号 p. 205-212
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/11/01
    ジャーナル フリー
    【目的】急性大動脈解離の内科治療患者には高率にせん妄が生じる。本研究ではパンフレットを使用し,患者の病気,治療に関する知識不足に対応することで,せん妄発生が減少するかを検討した。【方法】2000~2005年の急性大動脈解離の内科治療患者45人について,2003年からのパンフレット介入前後で,せん妄発生に影響を及ぼすと思われる因子,せん妄・安静不遵守・ライン自己抜去の発生率を診療記録に基づいて調査した。【結果】せん妄は入院翌日に最も多く(42.9%),介入後せん妄発生は64.0%から25.0%と有意に減少した(P=0.009)。安静不遵守,ライン自己抜去も共に減少した。両群でCRPmax,飲水開始日に有意差が見られたが,多変量ロジスティック回帰ではせん妄発生に影響した因子にはパンフレット介入の有無のみが選択された。【結論】急性大動脈解離の内科治療においてパンフレットによりせん妄発生が減少する可能性が示唆された。
症例報告
  • 小野 理恵, 橘 一也, 松浪 薫, 木内 恵子, 宮川 慈子, 香河 清和, 渡辺 高士, 奥山 宏臣
    2008 年 15 巻 2 号 p. 213-218
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/11/01
    ジャーナル フリー
    気管無形成は予後不良の先天性疾患で,長期生存例の報告はほとんどない。今回,退院に至った気管無形成患児の集中治療管理について報告する。患児は出生直後よりチアノーゼを呈し,食道挿管によって換気可能となった。気管無形成と診断し,出生当日に食道皮膚瘻造設術,食道絞扼術,胃瘻造設術を行った。術後,気道として利用している食道と気管食道瘻が容易に閉塞し,換気不全を繰り返した。鎮静や高いPEEPにより気道の開存維持を図ったが著効せず,呼吸管理に難渋した。生後52日目,人工心肺下に食道気管吻合と食道外ステント術を施行し,術後呼吸状態が安定した。2回目の術後34日目に人工呼吸からの離脱が可能となり,生後10ヶ月で退院となった。気管無形成では,出生直後の適切な蘇生処置とそれに続く姑息的手術により生存可能であるが,呼吸管理が困難であり,気道の開存を維持するために更なる外科的治療を考慮する必要がある。
  • 加古 裕美, 坪内 宏樹, 西田 修, 中村 智之, 栗山 直英, 山田 美智, 原 嘉孝, 田村 哲也
    2008 年 15 巻 2 号 p. 219-222
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/11/01
    ジャーナル フリー
    腹部刺創による出血性ショックにて,橈骨動脈圧と大腿動脈圧をモニターしながら大動脈閉塞バルーンカテーテル(intra-aortic balloon occlusion, IABO)を用い,長時間の遮断でも大きな合併症なく救命しえた。症例は32歳,女性。包丁による腹部刺創で,来院時Japan coma scaleIII-200。収縮期血圧50 mmHg台とショック状態だったが,急速大量輸液とIABOによる大動脈遮断により一時的に循環を保てるようになり,緊急手術を行った。下大静脈・門脈といった静脈系の損傷だったが,IABOは有効で,IABOバルーン容量を減らすと血圧が低下したため,外科的止血の進行にあわせて,橈骨動脈圧と大腿動脈圧を見ながらバルーン容量を調節し,完全~部分遮断を行った。遮断は2時間弱に及んだが,術後IABOによる大きな合併症は認めなかった。腹腔内大量出血で止血までが長時間に及ぶ場合,下半身血圧もモニターしバルーン容量を調節することで,より長時間の動脈遮断が可能となる。
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