日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
保存的治療にて改善しえた広範囲大動脈内血栓症の一例
中村 賢白鳥 一明岡田 邦彦橋本 和弘
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2009 年 16 巻 2 号 p. 191-195

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抄録

症例は47歳女性。腰背部痛,左下肢痛にて緊急搬送された。胸腹部CT上で,下行大動脈横隔膜レベルから壁在血栓の付着とそれに続く浮遊性物質の存在が認められた。患者は21年前の腰椎圧迫骨折以外に特に合併症を認めなかった。直ちにヘパリン療法を開始,内科的保存的治療にて経過を追うこととした。入院4日目には血小板の増加を認め,抗血小板薬投与を開始。入院8日目に血栓の消退を認め,引き続き血栓融解療法も併用し,入院23日目のCTではほぼ血栓は消退した。本症例のような広範囲浮遊性血栓症の報告例は少なく,治療に一定の基準がないため報告する。

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© 2009 日本集中治療医学会
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