日本集中治療医学会雑誌
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16 巻 , 2 号
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今号のハイライト
解説
  • 池松 裕子
    2009 年 16 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    認定看護師・専門看護師制度は1990年代後半に制定され,その教育課程を有する教育機関数および登録者数は急激に増加してきている。集中治療領域では集中ケア認定看護師と急性・重症患者看護専門看護師があり,2008年8月現在それぞれ421名と16名が登録されている。どちらも5年の臨床看護実績を積んだ後,認定看護師は6ヶ月の公的教育,専門看護師は大学院修士課程(または博士前期課程)を修了し,日本看護協会が実施する認定試験に合格しなくてはならない。認定看護師は,スタッフとともに業務に携わりながら,現場での問題を見出して改善し,看護の質の底上げを担う。専門看護師は,新しい研究知見や情報を入手・吟味したうえで計画的に現場に導入するとともに,その成果の誌上発表や教育講演を行い,広く我が国の看護のレベルアップを目指す。両者は対等な立場で協力し,集中治療領域における看護の質の向上に貢献することが期待される。
原著
  • Nobuki Shioya, Shigehiro Shibata, Nobuhiro Sato, Masahiro Kojika, Gaku ...
    2009 年 16 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    Objective: We measured the levels of soluble adhesion molecules in acute lung injury (ALI) patients and patients at risk of ALI, and then analyzed the correlations between the levels of the adhesion molecules and those of inflammatory cytokines to determine whether these factors are involved in the specific pathophysiology of ALI with sepsis. Methods: We conducted a case-control study comparing ALI (n = 13) and ALI-free (n = 14) patients with sepsis. Soluble adhesion molecules (soluble intracelluler adhesion molecule -1(sICAM-1), sE-selectin and soluble vascular cell adhesion molecule-1(sVCAM-1)), tumor necrosis factor-α(TNF-α) and interleukin-8 (IL-8) in the plasma were measured by enzyme-linked immunosorbent assays. Results: In the comparisons of the soluble adhesion molecule levels between ALI and ALI-free patients with sepsis, the sE-selectin level showed the most significant increase (P < 0.001), and was most strongly correlated with the TNF-α (P < 0.01) and IL-8 (P = 0.001) levels. sE-selectin was more specific factors for ALI, based on their greater areas under the receiver operating characteristic (ROC) curve (P < 0.01). Conclusion: Among the measured factors, sE-selectin appears to be involved in the specific pathophysiology of ALI with sepsis.
  • 渡部 修, 木村 哲郎, 岡田 邦彦, 佐藤 栄一, 関 浩道
    2009 年 16 巻 2 号 p. 163-167
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    【目的】リアルタイム超音波とX線透視を使用した腋窩静脈穿刺中心静脈カテーテル挿入法の安全性と確実性を検討する。【方法】この方法はリアルタイム超音波とX線透視をガイドとして,腋窩静脈穿刺とカテーテル挿入を目視しながら行う中心静脈カテーテル挿入法である。佐久総合病院において単独術者によってこの手技を実施し,穿刺回数,成功率,機械的合併症発生数などを記録した。【結果】45例を登録し,平均穿刺回数1.4回,穿刺成功率97.8%,カテーテル留置成功率95.6%,機械的合併症発生率0%であった。【結論】機械的合併症が発生せず,少ない穿刺回数で高い成功率が得られたことから,この方法は鎖骨下静脈穿刺法の改良法として有用であることが示唆された。安全性と確実性が高い中心静脈カテーテル挿入法として確立する可能性があるが,複数の術者による詳細な研究を必要とする。
  • 家田 由美子, 内野 滋彦, 根岸 茂雄, 臼井 美登里, 上原 淳, 間藤 卓
    2009 年 16 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    【目的】当施設においてRichmond Agitation Sedation Scale(RASS)を導入し,導入の容易性と鎮静スケールの信頼性を評価した。【方法】気管挿管中に持続鎮静を行っている症例全例に対し,RASSを導入した。導入後6ヶ月間,受け持ち看護師と教育担当看護師のRASS評価を重み付きカッパ(κ)係数を用いて比較した。また,導入6ヶ月後にRASSの使用についてのアンケート調査を行った。【結果】RASS評価を行った総症例数は59例で,疾患別では約半数が外傷患者であり,次いで循環器疾患,消化器疾患の順で多かった。教育担当看護師と受け持ち看護師のRASS評価には導入早期より高い一致度が認められ,評価総数118回のκ値は0.930と非常に高値であった。また,看護師に対するアンケートの結果では,RASSに対して肯定的な回答が多かった。【結論】RASSは短い準備期間での導入により信頼性の高い評価が可能であり,また,看護師も鎮静スケールの必要性や使用方法を理解して看護を行うことができた。
  • 春名 純一, 山中 寛男, 宮下 和久, 香河 清和, 橘 一也, 秋田 剛, 木内 恵子
    2009 年 16 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    【目的】病院における騒音は,以前から指摘されてきたにもかかわらず,十分な対策は立てられておらず,また現状評価もなされていない。そこで,最も騒音レベルが高い小児集中治療室(pediatric ICU, PICU)において,騒音の音響学的測定と分析を試みた。【方法】大阪府立母子保健総合医療センターPICUにおいて,連続7日間および24時間の5分間等価騒音レベル,ピークサウンドプレッシャーレベル,1/3オクターブバンド等価音圧レベルを測定した。【結果】連続7日間の同時刻の等価騒音レベルは平均約60 dBA,ピークサウンドプレッシャーレベルは平均約90 dBAで,他の報告と同じく高いレベルであった。1日の8時点における測定では,日内差はあまり見られなかった。1/3オクターブバンド等価音圧レベルは全周波数帯でほぼ同じレベルで,低周波領域の音圧レベルが高かった。【結論】PICU騒音はWHOの院内騒音基準を大きく超えるレベルにあり,患者および医療スタッフの健康被害をもたらす可能性がある。周波数分析からは低周波音の関与が示唆された。
症例報告
  • 赤坂 威史, 山崎 浩, 城 嘉孝, 橋口 清明, 増田 和之, 宮本 千里, 橋本 正博, 満瀬 哲郎
    2009 年 16 巻 2 号 p. 181-185
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性。失神を主訴に当院へ救急搬送された。出血性ショックを呈し,CTで後腹膜血腫をみとめた。プロトロンビン時間(prothrombin time, PT)27%,PT-international normalized ratio(PT-INR)2.09,活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time, APTT)66.7秒であった。APTT交差混合試験で,延長したAPTTが補正されず,後天性血友病Aを疑った。遺伝子組換え活性型血液凝固第VII因子,ステロイド,シクロスポリンが凝固異常の補正に奏効した。第VIII因子活性が1%未満,第VIII因子インヒビターが222.7ベセスダ単位(Bethesda unit, BU)·ml−1であることが後日判明した。後天性血友病Aは稀であるが,重篤な出血を来たす疾患であり,APTTが延長した症例では,本症をも考慮すべきである。止血治療,免疫抑制療法とともに,感染症管理が重要である。
  • 巽 博臣, 升田 好樹, 今泉 均, 杉山 由紀, 本間 広則, 黒田 浩光, 浅井 康文
    2009 年 16 巻 2 号 p. 187-190
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    重症患者では,胃蠕動の低下から胃内容の停滞,逆流をしばしば経験する。高度侵襲後の胃内容停滞が生じた重症患者に対し,六君子湯(以下,本剤)が著効した3症例を経験した。症例1は63歳女性で,Wegener肉芽腫症に合併した重症肺炎のため人工呼吸管理中であった。胃管排液量が500 ml·day−1前後と増加したため本剤を投与し,投与3日目から急速に排液量が減少した。症例2,症例3は胸腹部大動脈瘤術後の患者で,空腸チューブおよび胃管から経腸栄養を開始したが,胃管排液量が250~500 ml·day−1に増加したため本剤投与を開始し,投与2日目から排液量が減少した。いずれの症例も本剤投与による排液量減少から,円滑な経腸栄養の施行が可能となった。従来,本剤の薬理効果として胃運動機能改善,胃粘膜血流量増加,胃粘膜防御因子増強などが報告され,集中治療を要する重症患者で胃内容停滞症例にも有用であると考えられた。
  • 中村 賢, 白鳥 一明, 岡田 邦彦, 橋本 和弘
    2009 年 16 巻 2 号 p. 191-195
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    症例は47歳女性。腰背部痛,左下肢痛にて緊急搬送された。胸腹部CT上で,下行大動脈横隔膜レベルから壁在血栓の付着とそれに続く浮遊性物質の存在が認められた。患者は21年前の腰椎圧迫骨折以外に特に合併症を認めなかった。直ちにヘパリン療法を開始,内科的保存的治療にて経過を追うこととした。入院4日目には血小板の増加を認め,抗血小板薬投与を開始。入院8日目に血栓の消退を認め,引き続き血栓融解療法も併用し,入院23日目のCTではほぼ血栓は消退した。本症例のような広範囲浮遊性血栓症の報告例は少なく,治療に一定の基準がないため報告する。
  • 小原 伸樹, 塚田 泰彦, 細野 敦之, 大橋 智, 中野 裕子, 中根 正樹, 五十洲 剛, 村川 雅洋
    2009 年 16 巻 2 号 p. 197-202
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    62歳男性。既往は前立腺肥大症と気管支喘息。主訴は頭痛・倦怠感に続く両下肢麻痺と腸閉塞症状。意識レベル3(Japan coma scale, JCS)。脊椎X線CTで腰部脊椎症による両下肢麻痺と診断したが,全身状態不良のため保存的治療の方針となった。農薬の使用歴および縮瞳・流涎・舌の筋攣縮を認め,意識障害の原因を慢性有機リン中毒と診断した。呼吸循環動態が不安定なため,ICU管理とした。入院第10日に第4胸髄レベル以下の知覚低下,第13日に髄膜刺激症状を認めた。脳脊髄MRIでの脱髄病変,髄液所見,単相性の経過より急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis, ADEM)と診断した。ADEMはウイルス感染やワクチン接種後に複数の病巣による神経症候を急性にきたす脱髄性脳脊髄炎である。本症例においては脊髄麻痺範囲の拡大が診断の契機となったが,紛らわしい病歴により受診直後の診断は困難であった。
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