抄録
【目的】Surviving Sepsis Campaign guidelines 2008では,輸血開始基準として,Hb値が7 g·dl−1以下になった場合に赤血球輸血を開始するとされている。今回,重症患者における赤血球輸血開始基準について文献を網羅的に検索し,その問題点について検討した。【方法】PubMedにて検索して得られた無作為化比較対照試験(randomized controlled trial, RCT)の395文献から,Hb値7~9 g·dl−1などを目標とするrestrictive transfusion strategy(R群)と,Hb値10~12 g·dl−1などを目標とするliberal transfusion strategy(L群)について比較している文献を抽出し,検討した。【結果】該当文献は7件あり,そのうち4件は他の大規模なRCTのサブグループ解析であった。30日後死亡率や多臓器不全発生率において,いずれの研究もR群はL群と比較して同等か軽減する可能性が示された。【結論】今後さらなる研究が必要であるが,重症患者ではHb値7~9 g·dl−1程度を目標とした管理が望ましい。