抄録
肺動脈カテーテルは心拍出量や循環動態のモニタに広く用いられてきたが,その使用により予後が必ずしも改善しないことが報告されている。そこで,侵襲的な肺動脈カテーテルに代わって心拍出量を測定する手技が開発された。動脈圧波形を分析し一回拍出量をモニタするpulse contour法,間接Fick原理を呼気ガスCO2に応用し心拍出量を計算する部分的CO2再呼吸法,下行大動脈血流速度から心拍出量を計算する食道ドップラー法などである。超音波心エコー法や経肺的熱希釈法から,心拍出量とその決定因子を評価できる。動脈圧波形から脈圧や一回拍出量の呼吸性変動をモニタすれば,容量負荷に対する反応を判断できる。中心静脈血酸素飽和度をモニタすれば,酸素の需要供給のバランスを持続的に評価できる。これら肺動脈カテーテルに代わる手技の意義と限界について概説する。