日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
気道圧開放換気を行った重症市中肺炎の1例
西山 芳憲
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2011 年 18 巻 2 号 p. 243-248

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抄録

80歳の女性が市中肺炎から急性呼吸促迫症候群をきたした。間欠的強制換気を開始し,メロペネムとシベレスタットナトリウム水和物の投与を行った。P/F比が87 mmHgであったため,高圧相を27 cmH2Oとした気道圧開放換気(airway pressure release ventilation, APRV)に変更した。12時間後にP/F比は230 mmHgに上昇したが,循環動態悪化のため高圧相を22 cmH2Oに下げた。第2病日に播種性血管内凝固症候群を発症したため,アンチトロンビン製剤とトロンボモジュリンを投与したところ,その後のP/F比は200 mmHg前後となった。入室時の喀痰から検出された肺炎球菌はメロペネムに感受性を示した。第7病日にP/F比300 mmHg以上となり,炎症反応と凝固異常も改善に向かったため,人工呼吸から離脱した。APRVはある程度までP/F比を改善できると考えられるが,循環動態の悪化に注意が必要である。

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© 2011 日本集中治療医学会
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