日本集中治療医学会雑誌
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原著
目撃された病院外心原性心停止症例における救急蘇生ガイドライン変更前後での転帰の比較 ─ウツタイン大阪プロジェクトより─
林 靖之西内 辰也梶野 健太郎大石 泰男行岡 秀和石見 拓横山 広行甲斐 達朗
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2011 年 18 巻 3 号 p. 363-368

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抄録
【目的】救急蘇生ガイドラインの変更に伴う,目撃された病院外心原性心停止症例の転帰の変化について検討した。【対象と方法】2005年1月から2008年12月までの4年間に大阪府で発生した病院外心停止症例のうち,市民に目撃された心原性心停止症例5,018例を対象として,ガイドライン変更前後で2群(G2000群2,185例,G2005群2,833例)に分け,それぞれの転帰等について比較検討した。【結果】背景因子については,市民による電気ショック実施率,救急救命士による気管挿管および薬剤投与実施率はG2005群が有意に高値であった。また119番通報から救急救命士による初回電気ショックまでの時間はG2005群で有意に延長していた。転帰については,心拍再開率,1ヶ月生存率,予後良好1ヶ月生存率いずれもG2005群が有意に高値であった。また多変量解析でもG2005群は予後良好1ヶ月生存率の向上に寄与していた。【結論】救急蘇生ガイドライン変更後の目撃された病院外心原性心停止症例の転帰は改善されていた。今後,他地域でも同様の検証が望まれる。
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© 2011 日本集中治療医学会
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