日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
ヒドロキソコバラミン投与で治療したシアン中毒の1例
三浪 陽介菅野 正寛上垣 慎二久保田 信彦早川 峰司澤村 淳丸藤 哲
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2012 年 19 巻 2 号 p. 219-223

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抄録

症例は34歳,男性。統合失調症にて近医通院中であった。シアン系製剤(シアン化第一金カリウム)を服用後に悪心,嘔吐,腹痛が出現し,救急搬入となった。搬入時は意識清明で呼吸・循環は安定していたが,右上半身優位の間代性痙攣を認め,服用事実ともあわせシアン中毒と診断した。解毒薬として亜硝酸ナトリウムおよびチオ硫酸ナトリウムを投与したが,高乳酸血症が進行し,頻回の嘔吐とともに喀痰喀出困難となり低酸素血症を来した。気管挿管後にヒドロキソコバラミン投与を開始した。服用薬物には金が含まれていたため,ジメルカプロールを投与した。以後全身状態は速やかに改善し,第2病日に抜管,食事も摂取可能となった。第5病日に統合失調症の管理目的にかかりつけの病院に転院した。本邦では比較的まれなシアン中毒の1例であり,解毒薬投与の留意点ともあわせて報告する。

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© 2012 日本集中治療医学会
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