日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
安静時代謝量を指標とした適切な熱量投与によりrefeeding syndromeから軽快した重症神経性食思不振症の一例
宮本 和幸三宅 康史渡邉 真樹子福田 賢一郎森川 健太郎中村 俊介土肥 謙二有賀 徹
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2012 年 19 巻 2 号 p. 215-217

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抄録
神経性食思不振症では,一般的に安静時代謝量(resting energy expenditure, REE)が低下している。今回,間接熱量計で実測したREEに基づく適切な熱量投与で軽快した神経性食思不振症の一例を経験した。症例は26歳,女性。意識障害にて入院。重症神経性食思不振症と診断され,少量より熱量投与を開始したが,増量に伴い循環動態の不安定化と高血糖,低リン血症,低カリウム血症などのrefeeding syndromeをきたした。間接熱量計で測定したREEに基づき栄養管理を実施したところ,状態は安定した。重症神経性食思不振症では過剰な熱量投与はrefeeding syndromeの原因となる一方,REEを下回ると状態の悪化をきたし,適切な熱量投与が要求される。REE実測値を指標とした熱量投与を早期から行うことにより,refeeding syndromeに陥らなかった可能性が考えられた。
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© 2012 日本集中治療医学会
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