日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
凝固因子抗体迂回活性化療法が奏功した類天疱瘡に合併した後天性血友病の一例
君島 知彦升田 好樹今泉 均巽 博臣後藤 京子黒田 浩光吉田 真一郎浅井 康文
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2012 年 19 巻 3 号 p. 389-392

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抄録
類天疱瘡の治療中に後腹膜血腫にて発症した後天性血友病の一例を経験した。症例は63歳,男性。類天疱瘡にてステロイド内服治療中に貧血が生じ,後腹膜血腫が明らかとなった。動脈塞栓術を施行したが,その後も貧血が進行し,出血コントロールに難渋した。発症から17日後の血液検査で活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time, APTT)の単独延長が明らかとなり,第VIII因子活性が1%で抗第VIII因子抗体が検出されたため,後天性血友病と判明した。第VIII因子濃縮製剤の投与に引き続いてステロイドパルス療法を行ったが,出血傾向は改善しなかったため,第VIII因子抗体迂回活性複合体製剤(factor eight inhibitor bypassing activity, FEIBA)を投与したところ,急速に出血症状は改善した。重篤かつ遷延する出血症状を有する本症に対しては,凝固因子抗体迂回活性化療法が有効であると考えられる。
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© 2012 日本集中治療医学会
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