日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症による高アンモニア血症に対し高流量持続血液濾過透析が有効であった1例
干野 晃嗣西迫 良立石 浩二横山 健川名 信片山 勝之
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2013 年 20 巻 1 号 p. 25-28

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抄録
オルニチントランスカルバミラーゼ(ornithine transcarbamylase, OTC)欠損症は,新生児期より高アンモニア(NH3)血症を反復する尿素回路異常症である。その急性期治療では血液浄化による速やかなNH3値の低下とアミノ酸インバランス是正のための栄養療法が重要である。今回,OTC欠損症による治療抵抗性の高NH3血症に対し,高流量持続的血液濾過透析(high-flow continuous hemodiafiltration, high-flow CHDF)が有効であった症例を報告する。症例は20歳代男性。1歳時にOTC欠損症と診断され,以降,高NH3血症を反復していた。今回も誘因なく意識障害が出現し,高NH3血症の診断で前医入院となった。血液浄化療法,タンパク制限を行ったがNH3値は低下せず,第10病日に当院ICUへ転院となった。転院2日後より透析液流量9 l/hrとするhigh-flow CHDFを施行することで速やかにNH3値は低下し,意識も改善,第32病日に血液浄化を離脱し第67病日に脳死肝移植術施行となった。
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© 2013 日本集中治療医学会
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