日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
静注薬物常用者における感染性心内膜炎の一例
田中 睦郎岡本 実釜田 いずみ村田 英隆櫻井 聖大瀧 賢一郎毛井 純一
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2013 年 20 巻 1 号 p. 29-33

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抄録
薬物乱用において,静脈注射として使用する覚醒剤に関しては感染性心内膜炎(infective endocarditis, IE)の危険性が挙げられる。IEは弁膜症などを有する患者の観血的処置によって起こりやすいとされるが,静注薬物常用者では正常弁でも発症するとされる。そのため若年者のIEでは,本邦でも麻薬静注使用を考慮する必要がある。今回,覚醒剤常用者に発症したIEを経験したので報告する。症例は20歳女性,僧帽弁に疣贅を有するIEと診断され抗菌薬加療を開始したが,入院14日後に僧帽弁逆流の急性増悪による心不全を合併した。心不全加療後の入院17日目に僧帽弁置換術と三尖弁形成術を施行した。術後は幻覚などの精神症状を認めたが,術後脳出血の合併症は認められず,術後49日目に退院となった。現在,術後6ヶ月が経過し,心臓血管外科および精神科の外来通院中であるが,IEの再燃はみられない。
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© 2013 日本集中治療医学会
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