抄録
妊娠を契機にして発症した血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura, TTP)の症例を経験した。妊娠23週の37歳の女性で意識障害,重度の貧血,血小板減少が見られ入院となった。A disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motif, member13(ADAMTS13)活性の低値,ADAMTS13インヒビター陽性を認めたため,血漿交換を6回施行した。ステロイドパルス療法,抗血小板薬の投与も行ったところ,速やかに血小板数増加とADAMTS13活性の改善を認め,インヒビターも陰性となった。その後定期的にADAMTS13活性を測定したが,低下は認められず,再発を疑わせる所見はなかった。ADAMTS13活性の定期測定がTTPの管理や血漿交換の適用の判断にも有用であった。