2013 年 20 巻 1 号 p. 38-42
症例は,73歳,女性。性器出血,発熱,血圧低下を来し当院へ搬送された。赤色尿を呈し,生化学検査上,総ビリルビン(total bilirubin, T-Bil)7.6 mg/dl,AST 77 IU/l,LDH 589 IU/lと上昇を認め溶血を疑った。膣からの膿の鏡検,腹部CT所見より,Clostridium属による子宮ガス壊疽と診断した。ショックに対する初期治療および子宮摘出術を施行し,その後vasopressin投与,ステロイド補充,人工呼吸管理および血液浄化などの集中治療を行った。第3病日にはT-Bil 30.9 mg/dl,AST 2,751 IU/l,LDH 5,898 IU/lと高度の溶血を認めたが,以後全身状態は改善し,ICU退室となった。血液・膿培養からはC. perfringensが検出された。溶血は本菌による菌血症を伴った敗血症(septicemia)に特徴的だが,併発した場合の致死率は非常に高い。救命には早期診断と集中治療が不可欠である。