日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
CT画像所見からWaterhouse-Friderichsen症候群が疑われた乳児症例
小野 雄一有馬 大輔太田 好紀鈴木 剛松本 学白石 振一郎尾本 健一郎横田 裕行
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2013 年 20 巻 1 号 p. 51-55

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抄録
発症後急速に悪化し,画像所見よりWaterhouse-Friderichisen症候群(Waterhouse-Friderichsen syndrome, WFS)が疑われた乳児症例を経験したので報告する。症例は6ヶ月,男児。意識障害にて救急搬送された。当初,経過と頭部CT所見から低酸素脳症と診断した。入室時より高カリウム血症,低血糖,代謝性アシドーシスを認め,ショックが遷延していたが,血行動態を安定させることができたため脳保護目的で低体温療法を開始した。入室8時間後より血行動態などが急激に悪化し,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation, DIC)の所見を認めた。そこで感染症を強く疑い,低体温療法を中止し抗菌薬投与を開始した。感染源精査のため全身のCTを撮像したところ腹部CTにて両側の副腎出血を認め,WFSを疑いステロイド大量投与などの治療を行ったが,治療に反応することなく入室29時間後に死亡した。乳児の感染症へのアプローチ,低体温療法の適応などを考えさせられる症例であった。
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© 2013 日本集中治療医学会
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