日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
低体温療法中に著明なヘモグロビン値の変化を認めた3症例
板垣 大雅奥田 菜緒綱野 祐美子小畠 久和中瀧 恵実子小野寺 睦雄今中 秀光西村 匡司
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2013 年 20 巻 1 号 p. 66-69

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抄録
低体温療法中に体温低下に相関してヘモグロビン(Hb)値の変化をきたした3症例を経験したので報告する。【症例1】Brugada症候群で心肺停止となった31歳男性。36.9℃から33.8℃への冷却中にHb値が16.3 g/dlから20.7 g/dlに上昇した。復温に伴ってHb値は低下し,48時間後に15.8 g/dlとなった。【症例2】下顎歯肉癌術後に気道閉塞で心肺停止となった86歳男性。37.3℃から30.7℃への冷却中にHb値が10.3 g/dlから12.8 g/dlに上昇し,復温に伴い10.5 g/dlに回復した。【症例3】自宅にて心肺停止となった3カ月女児。来院時から33.6℃の低体温を認め,48時間後に復温すると,Hb値は12.2 g/dlから9.8 g/dlに低下した。低体温療法は蘇生後脳症に対して神経学的予後を改善する目的で行われるが,様々な合併症も引き起こす。循環血液量減少による血液濃縮は重要な合併症の一つであり注意が必要である。3症例とも水分バランスが正で体重減少も見られなかったことから,血漿成分の血管外漏出が生じたと考えられる。
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© 2013 日本集中治療医学会
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