日本集中治療医学会雑誌
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総説
侵襲急性期におけるエネルギー投与のパラダイムシフト —内因性エネルギー供給を考慮した理論的エネルギー投与法の提言—
寺島 秀夫
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2013 年 20 巻 3 号 p. 359-367

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抄録
侵襲が加わった生体のエネルギー需要は,侵襲反応として供給される“内因性エネルギー供給”と栄養療法として投与される“外因性エネルギー供給”の相互作用によって充足される。従来の栄養療法は,侵襲急性期においても,生体の安静時エネルギー消費量をエネルギー必要量として外因性にすべて供給するとした基本コンセプトを採用してきた。しかし,このエネルギー投与法は,内因性エネルギー供給が全く考慮されていないため,必然的にoverfeedingとして作用する結果,蛋白代謝の改善が得られないばかりか,高血糖ならびに一連の栄養ストレスによる有害事象が惹起され,栄養療法自体が逆効果になりかねない危険性を内包していた。このような状況を踏まえ,侵襲下のエネルギー基質動態,栄養療法の効果と限界,overfeedingが誘発する諸問題について論説し,内因性エネルギー供給を考慮した理論的なエネルギー投与法を新たに提言した。
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© 2013 日本集中治療医学会
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