抄録
【目的】小児重症患者における塩酸バンコマイシン(vancomycin, VCM)濃度予測の信頼性に影響を与える臨床因子を後方視的に検討した。【対象と方法】2010年3月~2011年11月当PICUに入室しVCMを投与した84例(pediatric logistic organ dysfunction, PELODスコア;10.7±10.6)を対象とした。当院でのシミュレーションソフトウェアによる予測濃度と実測濃度から予測誤差を算出し,影響を与える臨床因子を解析した。【結果】全症例の平均予測誤差は-16±64%。PELODスコア≧20とpercent fluid overload(%FO)≧10,estimated creatinine clearance(estCCr)<50の症例の予測誤差は12.4±68.0%,13.1±42.7%,-44.8±80.6%で有意に増大した(P<0.05)。【結語】小児重症患者ではPELODスコアと%FO,estCCrが濃度予測に影響を与えていた。