日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
症例報告
初期診断に難渋した院外心停止の一例
桑原 政成西 裕太郎西原 崇創安齋 均新沼 廣幸大谷 典生石松 伸一久留 一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 20 巻 4 号 p. 615-619

詳細
抄録
患者は,69歳,男性。高血圧で内服加療中であった。テニスプレー中に意識消失し,心停止のため心肺蘇生開始された。自動体外式除細動器で除細動施行後,呼吸再開し当院搬送となった。来院時,意識はJapan coma scale II-10,心電図で心房細動とV2~V6でST低下,心エコー図検査で軽度左室肥大,びまん性壁運動低下が認められた。緊急心臓カテーテル検査で左前下行枝に90%狭窄病変が認められ,同部位に経皮的冠動脈形成術を施行された。心電図変化の改善,心エコー図検査で壁運動の改善が認められたが,心筋逸脱酵素の上昇は認められなかった。入院後の心臓MRI検査にて遅延造影陽性となり,心筋生検で心筋の錯綜配列,心筋線維化が認められ肥大型心筋症と診断され,植込み型除細動器の植込み後に退院となった。心臓カテーテル検査で虚血による心停止が疑われた場合でも,他疾患を合併することがあり,十分な鑑別と精査が必要である。
著者関連情報
© 2013 日本集中治療医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top