抄録
人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia, VAP)は気管挿管・人工呼吸に伴って生じる院内肺炎である。VAP発症ゼロは可能だろうか。近年さまざまなVAP予防策が検討され,いくつかのケアを組み合わせた「バンドル」の有効性が示されている。本邦でも日本集中治療医学会から5つの項目からなる「VAPバンドル」が公開されている。バンドルの効果を判定するにはサーベイランスが重要だが,サーベイランス診断と臨床診断に解離があるため,米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention, CDC)はVAP診断にこだわらない新たなサーベイランス基準“ventilator-associated event(VAE)”を公開した。バンドルの普及はパラメディカルを中心とするチーム医療に依存しており,チームアプローチにより予防・診断・治療のレベルを上げることで,VAPを減らし患者の予後改善が可能と思われる。