日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
心臓超音波検査とノルアドレナリンやバゾプレッシンを用いて血行動態の改善を図った腹腔内感染症による敗血症性ショック患者の治療成績
川上 直哉岩崎 衣津石井 瑞恵小林 浩之奥 格實金 健福島 臣啓時岡 宏明
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2014 年 21 巻 3 号 p. 273-278

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抄録
【目的】敗血症性ショック患者は,不安定な血行動態の治療に難渋することが多く,死亡率も高い。我々は敗血症性ショック患者に対して,心臓超音波に基づく輸液管理と高い目標血圧による積極的な循環管理を行った。今回,当院における敗血症性ショック患者の治療成績を後ろ向きに検討した。【対象と方法】腹腔内感染症による敗血症性ショック患者72例を対象とした。抗菌薬投与と感染源除去に加え,心臓超音波検査による左室前負荷に基づいた輸液負荷と,平均血圧80 mmHgを目標にノルアドレナリン,バゾプレッシンなどを投与した。【結果】院内死亡率は16.7%で,Acute Physiology and Chronic Health Evaluation(APACHE)II scoreによる予測死亡率61.4%と比べて良好であった。血液浄化法施行例も9.7%と少なかった。【結語】腹腔内感染症による敗血症性ショック患者の治療は,積極的な循環管理による血行動態の改善により良好な成績を示した。
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© 2014 日本集中治療医学会
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