2014 年 21 巻 4 号 p. 313-321
Extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)は,従来の人工呼吸療法に反応しない可逆性の重症呼吸不全に対して選択されてきた。高流量の静脈-静脈(動脈)バイパスを導入し,長期耐久型膜型人工肺とポンプで酸素化と二酸化炭素除去を体外で行い,肺の安静化を図ることにより,傷害肺の治癒への機会を与える手法がBartlettらにより確立された。新生児重症呼吸不全においては,標準的治療法として位置づけられているが,成人重症呼吸不全に対しては,英国でのCESAR trialの成功とH1N1新型インフルエンザのパンデミック時での有用性が数多く報告されたことがきっかけとなり,デバイスの進化が後押しして,世界中で普及し始めた。重症呼吸不全に対するECMOは,専門的な技術と設備と施設が必要であり,センター化することが望ましい。また,教育と訓練にはシミュレーション技術の導入が成果を挙げている。