抄録
咽頭喉頭炎を合併した成人での水痘再感染の症例を経験した。80歳台男性で,関節リウマチに対して副腎皮質ステロイドと抗リウマチ薬を内服中であった。咽頭痛が出現し,数日後より口内炎を発症し,1週間後に躯幹に皮疹が出現し,当院を受診した。高熱と呼吸不全があり,頸部で吸気時狭窄音を聴取した。喉頭内視鏡では著明な咽頭喉頭の浮腫性腫脹を認め,気管挿管による気道確保を要した。頸部,胸腹部には癒合のない丘疹・水疱が多発し,Tzanck試験陽性であった。成人水痘と診断しアシクロビルで治療を行い軽快した。水痘・帯状疱疹ウイルス抗体価は初診時immunoglobulin(Ig)Gのみの上昇であり,2週間後はIgM・IgGの上昇を認め,再感染と考えられた。水痘・帯状疱疹ウイルスは,初感染では水痘を発症し,その後特異的免疫を獲得して,再度水痘は発症しない。免疫抑制状態にある成人は再感染水痘を発症する危険性がある。