抄録
川崎病は,幼児期までに多くが発症する原因不明の全身性血管炎である。川崎病合併心筋炎の頻度は,無症候例も含めると50%以上とされるが,治療介入を要する重症心筋炎の合併は稀である。しかし重症心筋炎は免疫グロブリン静注療法に不応例が多く,少数ながら死亡例も報告され,川崎病に合併する重症心筋炎は致死的であり,厳重な集中治療管理が必要である。我々は,川崎病に合併した心筋炎により心原性ショックをきたした小児を2例経験した。免疫グロブリン静注療法に不応で,高用量の血管作動薬投与では循環の改善が得られず,血漿交換療法により良好な転帰を得た。川崎病に合併する重症心筋炎において血漿交換療法は有効な治療法のひとつになり得ると考える。