日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
外傷患者に対するクリオプレシピテートの使用経験
岩下 義明山本 章貴鈴木 圭畑田 剛武田 多一丸山 一男今井 寛
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2015 年 22 巻 1 号 p. 23-26

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抄録
クリオプレシピテート(以下,クリオ製剤)は新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma, FFP)から調整された濃縮血液製剤であり,諸外国では大量出血患者に対するフィブリノゲン(fibrinogen, FBG)補充目的に使用されている。本邦でも手術中の大量出血に対する止血効果が報告されているが,外傷患者に対する使用の報告はまだ少ない。当院では,これまでに6例の外傷患者に対しクリオ製剤を使用している。6症例のクリオ製剤投与直前のFBGの平均は99.2 mg/dlで,投与後のFBGの平均は179 mg/dlであった。乳酸値は投与前4.6 mmol/lから投与後3.5 mmol/lへ改善した。投与した6症例中死亡例は1例で,5例は生存退院した。対象症例中,クリオ製剤投与に伴う有害事象はみられなかった。クリオ製剤は低FBG血症を伴う外傷患者に対し急速にFBGを補充することで止血を可能にし,生命予後を改善させる可能性があると考えられる。
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© 2015 日本集中治療医学会
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