抄録
アルギニンバソプレシン(arginine vasopressin, AVP)V2受容体拮抗薬であるトルバプタンは,小児心不全においても有用である可能性があるが,小児への使用報告は少ない。今回,乳幼児におけるトルバプタンの効果と安全性に関して診療録より後方視的に検討した。症例は先天性心疾患(congenital heart disease, CHD)の周術期,もしくはCHDを既往にもつ児の心不全5例で,使用目的は他の利尿薬で効果が得られない水分貯留であった。投与開始後より尿量増加,体重減少を認めた。投与量は0.1~0.3(中央値0.1)mg/kg/dayであり,これまでの小児における報告より少なく,小児ではより低用量投与で効果が得られる可能性が考えられた。