抄録
肺エコー診断が集中治療領域に浸透してきている。肺エコーの利用といえば胸腔内の液体貯留の確認のみと考えられていたが,プロトコール化されたアーチファクト画像の理解により種々の病態が把握できるようになった。肺をエコーで診るというより,胸膜の動きと種々のアーチファクトを組み合わせて肺の状態を把握すると考えたほうが分かりやすい。そしてベッドサイドで短時間に種々の病態が診断できるようになり,不安定な患者状態のpoint-of-care診断に占める肺エコー診断の役割が増している。今後,異常呼吸音,副雑音などを聴診技法で教育するように,肺エコーも教育が必須となる診断技法と考える。この総説では,基本的な知識と主に診断に用いられる所見,肺エコーでの代表的な診断法,またピットフォールなどについて解説する。