2016 年 23 巻 2 号 p. 154-157
冠動脈自然解離は冠動脈造影での内膜亀裂によるフラップや偽腔の存在により診断されてきた。今回,光干渉断層法で解離腔を明瞭に観察しえた2例を経験した。症例1は冠危険因子のない50歳,女性(非ST上昇型急性冠症候群)。冠動脈造影で右冠動脈中間部に高度狭窄を認め,血管内超音波では全周性冠動脈血腫を確認した。光干渉断層法で中膜外膜間に解離腔を認め,冠動脈自然解離と診断した。症例2は喫煙歴のある42歳,女性(ST上昇型急性冠症候群)。冠動脈造影で左前下行枝に内腔平滑な狭窄(#6,#7:90%,#8:90%)を認めた。光干渉断層法で全周性に解離腔を認め,冠動脈自然解離と診断した。2例とも冠動脈造影で内膜亀裂によるフラップを認めず,動脈硬化性変化に乏しい狭窄病変であった。冠動脈造影のみでは見逃しやすい冠動脈自然解離を,血管内超音波と光干渉断層法により詳細に把握できたので報告する。