日本集中治療医学会雑誌
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原著
本邦小児集中治療領域における敗血症性ショック管理の現状
横川 真理笠井 正志志馬 伸朗
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2018 年 25 巻 2 号 p. 115-120

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抄録
【目的】本邦の小児集中治療領域における敗血症性ショックの管理実態を調査し,管理実践の改善に繋がる基礎的資料を得る。【方法】小児の集中治療を行っている国内29施設のICUあるいはPICUの施設長を対象に,提示した敗血症性ショック症例に対する標準的診療状況について調査した。【結果】27施設から回答を得た。抗菌薬投与前に全例で血液培養を2セット採取していたのは33%で,敗血症の診断後1時間以内に抗菌薬を投与していたのは52%に過ぎなかった。全体の59%が,40~60 ml/kgの輸液にもかかわらず低血圧が持続する場合に昇圧薬投与を考慮し,選択する昇圧薬はドパミン(33%),ノルアドレナリン(30%),アドレナリン(26%)であった。敗血症性ショックの重症度は,乳酸値,動脈血液ガス分析値,中心静脈血酸素飽和度を指標にしていた。【結論】今後の重要な診療改善点は,血液培養の複数セット採取と,より早期の適切な抗菌薬投与であると考えられた。
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© 2018 日本集中治療医学会
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