日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
退院後に脳梗塞を発症した周産期心筋症の一例
今井 恵理哉小林 収桂井 理恵松井 宏樹佐藤 仁信重城 聡
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2018 年 25 巻 2 号 p. 125-128

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抄録
周産期心筋症(peripartum cardiomyopathy, PPCM)は,心疾患の既往のない女性が妊娠最終月から産褥期5ヶ月の時期に心不全を発症する疾患である。非常に稀な疾患ではあるが,低心機能が残存する可能性も高く,心臓移植が必要になることもある重篤な疾患である。症例は4回経産の40歳女性。2日前から続く呼吸困難で当院を妊娠36週6日に受診した。心疾患の既往はなく,胸部X線写真で両側肺うっ血と胸水貯留を認め,経胸壁心エコー上左室駆出率18%であり,PPCMと診断され緊急帝王切開術を施行した。術後ICUで非侵襲的陽圧換気,利尿薬,ドブタミンなどで治療し,POD 2にICUを退室した。周術期管理が奏功し,無事にPOD 23に退院したが,PPCM発症から6ヶ月後に小脳梗塞を発症した。持続する低心機能,産褥期の凝固能亢進の関与が考えられた。
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© 2018 日本集中治療医学会
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