日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
薬物治療に難渋した心肺停止蘇生後の低酸素脳症におけるparoxysmal sympathetic hyperactivityの一例
澄田 奏子岡田 保誠稲川 博司小島 直樹山口 和将佐々木 庸郎
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2018 年 25 巻 2 号 p. 129-133

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抄録

心肺停止蘇生後にparoxysmal sympathetic hyperactivity(PSH)を呈し,治療に難渋した一例を経験した。症例は33歳,男性。数日前からの全身倦怠感を主訴に受診した。著しい脱水と腎障害,横紋筋融解症,高カリウム血症を呈しており,来院後心肺停止状態となった。心肺蘇生法により自己心拍再開し,低体温療法を施行したが,低酸素脳症に至った。第7病日より,刺激に対し発作性に頻脈,高血圧,頻呼吸,発汗,高熱,筋緊張が見られるようになり,PSHと診断した。治療に難渋し,長期にわたる全身管理を要したが,ラベタロール,クロナゼパム,ガバペンチン,ブロモクリプチン,ダントロレンによる薬物療法を行い発作の頻度は減少した。本邦におけるPSHの報告例は数少なく,特に低酸素脳症における報告例はほとんどない。頭部外傷のみならず,低酸素性脳症においても,PSHの発症を考慮に入れる必要がある。

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© 2018 日本集中治療医学会
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