日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
自動体外式除細動器のマニュアルモードによる除細動を行った無脈性心室頻拍の1例:両室ペーシング機能付き植込み型除細動器および自動体外式除細動器の不作動例
白源 清貴若松 弘也勝田 哲史松本 聡山田 健介原田 郁石田 和慶松本 美志也
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2018 年 25 巻 5 号 p. 379-382

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抄録

79歳,男性。慢性心不全で両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(cardiac resynchronization therapy defibrillator, CRT-D)を植込まれており,慢性腎不全で血液透析を導入されていた。血液透析中に意識消失をきたし,心電図波形は心拍数175 /minの心室頻拍であったが,CRT-Dおよび装着した自動体外式除細動器(automated external defibrillator, AED)は除細動の適応なしと判定した。AEDをマニュアルモードへ変更して除細動を行い,心室頻拍は停止し,意識も回復した。本症例では誤作動を少なくするためにCRT-Dの心拍数の作動閾値を高く設定しており,それが不作動の原因と考えられた。また,AEDは波形パターンや心拍数をもとに除細動の適応を判定するが,本症例の心拍数が作動閾値に達していなかったことが不作動の原因と考えられた。医療従事者はAEDやCRT-Dの特性を理解したうえで,必要に応じてマニュアルモードへの変更を考慮すべきである。

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© 2018 日本集中治療医学会
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