日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
救急搬送後に気管挿管・人工呼吸器管理となり,抜管困難となったことを契機に診断された神経難病の2例
藤浪 好寿松本 あい中田 一弥小谷 穣治切田 学
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2022 年 29 巻 1 号 p. 27-31

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抄録

神経難病は,その認知度が向上し,未診断の高齢者が診断される機会が増え,また人工呼吸管理や療養経験の蓄積により長期生存が可能となったため,有病率の上昇と患者の高齢化が継続している。そのため,救急・集中治療領域においても神経難病に遭遇する機会が増加している。今回,呼吸器離脱困難を契機に神経筋疾患を疑い,神経内科の併診により確定診断に至った神経難病の2例を経験した。2例ともに気管切開後に確定診断となったが,早期に診断に至れば,不測の急変や不適切な呼吸器離脱を回避でき,また早期治療介入により転帰を改善させる可能性がある。そして神経難病の確定診断を下すことは,患者本人・家族の精神的・経済的負担の軽減にもつながると考える。高齢者の未診断の神経難病は一定数存在するため,気道や肺に器質的異常がなく,呼吸器離脱困難な場合には,神経筋疾患を念頭に置く必要があると考える。

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© 2022 日本集中治療医学会
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