2022 年 29 巻 2 号 p. 117-122
【目的】心臓外科周術期におけるイオン化マグネシウム濃度(ionized magnesium, iMg)測定の有用性を判断する。【方法】2018年12月から2019年5月までに行われた待機的心臓手術連続35症例を対象とし,人工心肺使用例(P群:25症例)の周術期iMgの推移と,手術終了時の総マグネシウム濃度(total magnesium, tMg)との相関性を,人工心肺非使用例(C群:10症例)を比較対象として前向きに観察し評価した。【結果】P群のiMgは,心筋保護液投与後に1.04 [0.54〜1.26]mmol/Lと有意に上昇し,術後ICU帰室3時間後においても0.86[0.75〜1.00]mmol/Lと高値で遷延していた。P群手術終了時点のiMgとtMgの相関係数は0.404であった。【結論】心臓外科手術では,心筋保護液使用に伴った高Mg血症が遷延している可能性がある。 その周術期管理に際してiMg測定は,Mg過量投与を防ぐために有用である。