日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
原著
日本集中治療医学会のデータベース(JIPAD)を用いた同一入院緊急ICU再入室患者の実態調査
橋場 英二遠藤 英樹相原 美乃里竹川 大貴
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 32 巻 論文ID: 32_R26

詳細
抄録

【目的】Japanese Intensive Care Patient Database(JIPAD)を用いて,日本の同一入院中に緊急でICUに再入室した患者の実態と再入室のリスク因子を明らかにする。【方法】2018年4月~2020年3月の期間にJIPADに登録された16歳以上の患者を対象とし,同一入院中の緊急ICU再入室患者を抽出した。検討項目は,ICU再入室率,緊急ICU再入室率,院内およびICU内死亡率,在院日数,複数回ICU再入室患者の有無,合計ICU滞在日数が15日以上の総ICU滞在日数長期率などとした。また,緊急ICU再入室に関係する因子を多重ロジスティック回帰分析で検討した。【結果】57のICUでの入室69,594件中,再入室は3,018件(4.3%)で,緊急ICU再入室は2,001件(2.9%)であった。この2,001件中,2回目のICU入室に限った1,718件を緊急ICU再入室群として検討した。緊急ICU再入室患者は単回入室患者に比べ,院内死亡率は3.8倍(27.2% vs. 7.2%),総ICU滞在日数長期率は9.7倍(31.9% vs. 3.3%),そして,在院日数は中央値で3.1倍(59日 vs. 19日)であった。緊急ICU再入室に関連する因子は,男性,APACHE Ⅲスコア,入室時気管切開の存在,ICU滞在日数,ICUにおける腎代替療法や非侵襲的陽圧換気の使用であった。【結語】同一入院の緊急ICU再入室は,病院内死亡率,総ICU滞在日数長期率が高く,在院日数も長いことが明らかとなった。

著者関連情報
© 2025 日本集中治療医学会
前の記事
feedback
Top