日本集中治療医学会雑誌
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ICUで血液浄化療法を施行した急性腎不全症例の検討
林 和敏田口 学寺澤 篤田口 弥人大久保 一浩安田 邦光石田 進高須 宏江
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2003 年 10 巻 3 号 p. 165-170

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抄録

ICUにおいて血液浄化療法を施行した急性腎不全患者の実態を明らかにすることを目的とした。1999年1月から2001年12月までにICU入室後,血液浄化療法を導入した126例を対象として,retrospectiveに調査し,生存退院した生存群(49例)と院内死亡した死亡群(77例)の2群に分類して比較検討した。救命率は38.9%であった。腎不全の原因は敗血症,虚血・低血圧が多く,死亡群では他の臓器不全を多く合併した。生存群では43例(87.8%)が血液浄化療法を離脱でき,死亡群は平均20.4日間血液浄化療法を施行し74%が30日以内に死亡した。医療技術の向上に伴い,ICUにおいて血液浄化療法の対象となる症例は重症化しており,急性腎不全患者の予後は,原疾患や合併する臓器不全の重症度による。生存群での腎予後が良好な一方で,予後不良例に対して漫然と血液浄化療法を施行している可能性が示唆された。血液浄化療法の導入ないし継続においては,重症度評価などを行い,適応を明確にする必要があると思われる。

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