日本集中治療医学会雑誌
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ブホルミンによる重篤な乳酸アシドーシスの1症例
馬屋原 拓島田 二郎伊藤 辰哉土井 敏彦松本 幸久岡田 剛中山 正吾森 健次郎
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2004 年 11 巻 3 号 p. 207-210

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抄録
49歳の男性がブホルミン製剤の内服を開始して3日目に腹痛と全身倦怠感を主訴に来院し,血液検査で高カリウム血症(K+9.1mmol・l-1)と乳酸アシドーシス(pH6.84,乳酸値18.2mmol・l-1,BE-31.5mmol・l-1)が明らかとなった。2回の血液透析と持続血液濾過透析を施行した結果,乳酸アシドーシスと高カリウム血症は改善し,患者は後遺症を残さず退院した。ブホルミンなどのビグアナイド系経口血糖降下薬はまれに乳酸アシドーシスを引き起こすことがある。乳酸アシドーシスに対する確立された治療法はなくその予後は未だに悪いが,最近になり血液浄化法が奏効した症例が複数報告されている。本症例の乳酸アシドーシスでも血液浄化法が有効であった。血液浄化法は,アシドーシスや電解質異常を補正するだけでなく,原因であるビグアナイド薬を除去できるため,ビグアナイド薬による乳酸アシドーシスに対して有効であると考えられる。
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