日本集中治療医学会雑誌
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プロポフォールの高用量長期持続投与中に突然の代謝性アシドーシス,治療不応性低血圧,クレアチンキナーゼ上昇を来し救命しえなかった成人症例
永田 功西沢 英雄木村 崇野崎 藤章今福 一郎角田 幸雄
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2005 年 12 巻 2 号 p. 123-128

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抄録
重症患者ヘプロポフォールを高用量長期持続投与することにより生じる致死的な合併症としてpropofol infusion syndromeの報告が海外で散見される。現在までに小児21例,成人15例の報告があるが,我が国における報告は1例もない。propofol infusion syndromeの臨床症状は,心不全,致死的不整脈,横紋筋融解症,著明な代謝性アシドーシス,高カリウム血症などで,これらが突然発症することが特徴とされている。発症機序は,大量プロポフォール投与の他に,重症疾患,カテコラミン,ステロイド投与などが相互に関与すると考えられている。今回我々は,てんかん重積発作の治療目的でプロポフォールを5.75mg・kg-1・hr-1以上の56.5時間投与で突然,循環不全(心不全),横紋筋融解症,著明な代謝性アシドーシス,高カリウム血症,致死性不整脈(心室頻拍,心室細動)を生じて死亡し,propofol infusion syndromeを発症したと考えられた成人症例を経験したので報告する。
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