抄録
気管チューブのかわりにラリンジアルマスク(LMA)を用いて,気管支ファイバースコープ(BFS)補助下の経皮的気管切開(PDT)を施行した2症例を報告する。症例1:65歳女性。結腸切除術後,急性呼吸不全のためICUに入室した。肺酸素化能改善後も喀痰排出が十分にできないためPDTを施行した。症例2:87歳女性。心肺蘇生後にICUに入室したが植物状態となったためPDTを施行した。いずれもプロポフォールを用いた鎮静下にLMAを挿入した。PDTはブルーライノ法で施行した。LMAを介してBFSを挿入後,第2気管輪を特定し上部気管を観察しながら経皮的に気管穿刺後,ガイドワイヤーを留置した。拡張器を用いて気管を拡張した後,気管切開チューブを留置した。皮膚切開から留置までそれぞれ4分,2.5分であった。PDT施行中,後の合併症はなかった。LMAはBFS補助下のPDTにおいて有用であると考えられる。