日本集中治療医学会雑誌
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レボチロキシンナトリウム大量服用の1症例
永井 小夜南 ゆかり坂本 成司廣澤 壽一稲垣 喜三齋藤 憲輝石部 裕一
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2005 年 12 巻 2 号 p. 133-135

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抄録
今回レボチロキシンナトリウムを自殺目的に多量に服用した1症例を経験したので報告する。レボチロキシンナトリウムの服用量は3.5mgで,来院時甲状腺機能亢進症状は認めなかったが,第2病日より第4病日まで37度台の微熱が続いた。その他には臨床所見はなく,以降外来通院とした。退院後,甲状腺機能亢進症状は認めず,第19病日,治療終了とした。血清T4値は,服用当日の39.8μg・dl-1から徐々に低下し第4病日には正常値以下となった。しかし第7病日に再び上昇し,第19病日に正常値となった。甲状腺ホルモンは半減期が長く,T4代謝産物のT3が活性をもつため,多量服用の中毒作用は遅れて重症化する可能性がある。摂取後2週間程度は甲状腺ホルモン値の変化と中毒症状の発現に注意が必要である。また,患者自身の甲状腺機能は強く抑制されている可能性があるので,抗甲状腺療法よりもまずは対症療法を行うべきと思われた。
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