日本集中治療医学会雑誌
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実験的体外循環でのサイトカインの産生および吸着に関する検討
中 敏夫篠崎 正博森永 俊彦友渕 佳明栗林 恒一竹中 徹阿部 富彌
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1998 年 5 巻 1 号 p. 33-38

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抄録
再生セルロース(RC)膜とポリアクリルニトリル(PAN)膜を用いた閉鎖式回路に全血を体外循環させ,炎症性サイトカイン(IL)の産生および吸着について検討した。灌流前後で血球数,血漿サイトカイン濃度および単核球(PBMC)におけるサイトカインのmRNA(messenger RNA)の発現をRT-PCR(reverse transcription polymerase chain reaction)法を用いて測定した。灌流前後で白血球数に変化はなかったが,RC膜およびPAN膜でPBMCおよび血小板数は減少した。RC膜では血漿IL-6,IL-8は有意に上昇したがPAN膜では灌流前と変わりなかった。一方RC膜,PAN膜ともにmRNAは強く誘導されていた。これらからRC膜・PAN膜を用いた体外循環によりサイトカインは産生を刺激される。ただしPAN膜では産生されたサイトカインの膜への吸着が示唆された。
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