抄録
急性心筋梗塞症(AMI)に対する再灌流療法は閉塞した梗塞部灌流冠動脈を発症後早期に再開通して順行性血流の回復を図り,梗塞巣を縮小する治療法である。その最大の目的は急性期死亡率の改善である。本法は初期には線溶薬の冠注法によって試行されたが,大規模試験によって静注法の有用性が実証された後,AMIの初期治療として確立された。線溶薬としては現在,組織型プラスミノーゲン活性因子が繁用されている。その後,冠動脈インターベンションの発展によって,経皮的冠動脈形成術(PTCA)が再灌流療法として導入された。PTCAも大規模試験の結果,その有用性が立証されつつある。本邦では,欧米に先立ってPTCAが再灌流療法の主流である。再灌流療法は現在も方法論において発展途上にあり,新たに開発された半減期の長い線溶薬やステント留置などを中心に,その有用性が検討されつつある。