日本集中治療医学会雑誌
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トラクター外傷による外傷性窒息の1症例
中永 士師明田中 博之稲葉 英夫
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2000 年 7 巻 2 号 p. 125-128

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抄録

外傷性窒息(traumatic asphyxia, TA)の受傷原因としては重量物の下敷き,交通事故などが多い。われわれはトラクター外傷による1例を経験した。患者は71歳,男性で,救出時,呼吸停止状態であり,来院時,意識レベルはGlasgow coma scale 7 (E2V1M4)であったため,中程度の脳低温療法を施行した。経過は良好であった。本例はビニルハウスの鉄パイプの間に側胸部が挟まり,かつ,トラクターによって前胸部を圧迫されるという胸郭の運動が3方向から妨げられる受傷機転であった。本例の意識障害の原因としてTAに伴う脳内静脈圧上昇によるものと呼吸停止に伴う低酸素性脳症の両者が関与していると考えられた。

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