日本集中治療医学会雑誌
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電解機能水の基礎と医療における有効利用
堀田 国元
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2000 年 7 巻 2 号 p. 97-105

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抄録

0.1%以下の薄い食塩水を陽極と陰極が隔膜で仕切られた電解槽で電気分解すると,陽極側に低pH(2.2~2.7)で有効塩素濃度20~60ppmの電解水を生成する装置が開発されている。強酸性電解水と呼ばれるこの電解水は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や薬剤耐性緑膿菌など耐性菌を含む広範な病原細菌に著効を示す。主たる殺菌基盤は次亜塩素酸で,その殺菌機構にはヒドロキシラジカルが主役的に関与すると考えられている。強酸性電解水は,活性は高いが不安定なために市販されておらず,電解装置を現場に設置してユーザーが必要なときに作製し,新鮮なうちに使用する。すなわち,次亜塩素酸の良さを活かし,欠点を克服した新技術といえる。厚生省が手指や内視鏡の洗浄消毒を認めているほか,環境や血液透析機,さらに褥瘡や創部などの洗浄消毒に使用されている。手荒れが少なく,毒性や濃度も低いので,人にも環境にもやさしいなど利点が多い。タンパク性有機物に弱いが,使用対象を考慮した使い方により洗浄消毒の実効を上げられるので,今後利用が拡大すると思われる。

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