ため池底泥の農地客土材としての使用を前提とし,まさ土へのため池底泥の添加が植物の出芽・生育へ及ぼす影響について実験的に検討した.具体的には,無処理の底泥と,高分子系凝集剤を添加して脱水処理したため池底泥のそれぞれについて,その物理・化学的性質を明らかにするとともに,ため池底泥の添加がコマツナの発育に及ぼす影響について検討した.
その結果,1)ため池底泥を10%添加すると出芽に適した保水性となること,2)まさ土への底泥添加量が10%程度まででは生育に大きな差異がないこと,3)脱水処理したものは,無処理のものと比べて凝集剤の影響で生育が向上すること,4)底泥中の無機成分は生育に影響を与えないこと,などが示された.結果として,ため池底泥の10%程度までの培地への混合は,その生育に及ぼす影響を考えても十分に可能であると言える.