2011 年 79 巻 2 号 p. 87-95
本研究は,地域のバイオマス利活用を評価するため,企業や事業体の経営効率を分析するDEA(包絡分析)を適用して,現在のバイオマスタウン195地区の経営効率性(物質循環効率,温暖化防止効率,経済効率)について評価し,その結果を考察した.そして,バイオマス利活用に関する評価へのDEAの適用可能性を提案した.評価の結果,バイオマスタウンの現状および構想案は,いずれも物質循環効率の向上を強く指向しているが,温暖化防止や事業収益性はそれ程重点が置かれていないという課題を明らかにした.また,経営効率の観点から,バイオマスタウンの実施規模の改善を提起した.これまでの費用便益分析や費用効果分析を援用した事業評価や政策評価に比べ,DEAを適用した場合,従来では見いだすことができなかった視点から事業の改善策や指針を示すことが可能になる点を指摘した.