農業農村工学会論文集
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79 巻 , 2 号
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研究論文
  • 西田 一也, 満尾 世志人, 皆川 明子, 角田 裕志, 西川 弘美, 大平 充, 庄野 洋平, 千賀 裕太郎
    2011 年 79 巻 2 号 p. 45-53
    発行日: 2011/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,国営農地再編整備事業において改修された岩手県奥州市胆沢区を流れる白鳥川・原川排水路の生態系配慮工法区間を対象に,改修前後の魚類と水路環境の推移を明らかにして,水路改修が魚類の生息に及ぼす影響を考察した.その結果,次の知見が得られた.1)直線とした区間では,改修後に寄州が形成されず,湿生・抽水植物が生育しなかった.また,魚類の種類数,多様度指数が減少した.ドジョウの密度のみが高くなり,改修前を基準とした類似度指数は低下して改修後約5年を経ても回復しなかった.2)屈曲させた区間では,寄州に湿性・抽水植物が生育した.また,改修前後で魚類の種類数,多様度指数に大きな変化は認められなかった.ドジョウ,アブラハヤ,ギバチの密度が高くなり,類似度指数が改修前と同程度になった.3)屈曲かつ急勾配とした区間では,水衝部に造成した淵が形成され続けたが,緩流域の形成が不十分であった可能性が考えられた.
  • 福田 信二, 増田 慎也, 平松 和昭, 原田 昌佳
    2011 年 79 巻 2 号 p. 55-63
    発行日: 2011/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    生物の生息場選好性評価に広く利用されているHabitat Suitability Index(HSI)モデルの構築には使用するデータに応じて異なる定量化手法がとられているが,この手法上の主要要素である生息分布データの形式や環境変数のカテゴリー化手法が結果に与える影響について報告した例はない.そこで本研究では,微小スケールの空間に対するHSIモデルを構築してメダカの生息場選好性を評価する際に,これらの各要素が選好曲線および空間分布の再現性に与える影響を複数の評価指標に基づいて評価した.得られた選好曲線は,データ形式によらず同様の傾向を示したが,カテゴリー化手法ごとに差がみられた.また,空間分布の再現性は,データ形式とカテゴリー化手法からそれぞれ異なる影響を受けていた.選好曲線の形状および空間分布の再現性から,生態学的特徴を考慮したカテゴリー化手法の有効性が示唆された.
  • 岡島 賢治, 田中 忠次, 小松 宜紘, 飯田 俊彰
    2011 年 79 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 2011/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    堰基礎地盤の浸透破壊に対する安定性の検討には浸透路長を用いたクリープ理論が用いられるが,この方法は経験的に導かれた簡便な手法であり,上下流水頭差の増大に伴う地盤の変形状況の推定などはできない.そこで,堰基礎地盤浸透破壊の模型実験を行って実験結果に弾塑性有限要素解析を適用し,浸透破壊問題の再検討を行った.実験結果から,浸透路長を用いた従来の方法では破壊水頭差を適切に推定できないことが明らかとなった.また,有限要素法でラプラス方程式を解いて求めた浸透力を土の特性を考慮した弾塑性有限要素解析に外力として入力する解析手法により実験結果がよく再現され,本解析手法の有効性とともに,本解析手法がメッシュサイズ依存性を持たないことが示された.解析結果から,堰基礎浸透破壊問題に対して,止水矢板の場合に用いられるTerzaghiの方法の有効性が示唆された.
  • 高木 東, 中川 啓, 肥山 浩樹
    2011 年 79 巻 2 号 p. 75-86
    発行日: 2011/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    傾斜農地におけるリル網の集水域の地形特性量を調べるとともに,リル網の集水域内の部分集水域面積に関する統計則およびリル網のリル密度に関する2つの予測式の有効性について調べた.本研究では,河道網におけるStrahlerの次数化法および河道網に関する地形統計則理論を援用した.調査の結果,対象リル網の集水面積に関する地形特性値やリル密度などが明らかになった.また,対象リル網のほとんどについて,リル網の集水域内の次数化された部分集水域の平均面積に関する統計則およびHorton・Schummの集水面積則がほぼ成立することが分かった.さらに,リル網のリル密度に関しては,一方の予測式は,対象リル網の大部分に対して有効であり,他方の予測式は対象リル網のうち谷頭数が47以上のリル網に対して,非常に高い精度でリル密度を予測した.
  • 森本 英嗣, 星野 敏, 九鬼 康彰
    2011 年 79 巻 2 号 p. 87-95
    発行日: 2011/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,地域のバイオマス利活用を評価するため,企業や事業体の経営効率を分析するDEA(包絡分析)を適用して,現在のバイオマスタウン195地区の経営効率性(物質循環効率,温暖化防止効率,経済効率)について評価し,その結果を考察した.そして,バイオマス利活用に関する評価へのDEAの適用可能性を提案した.評価の結果,バイオマスタウンの現状および構想案は,いずれも物質循環効率の向上を強く指向しているが,温暖化防止や事業収益性はそれ程重点が置かれていないという課題を明らかにした.また,経営効率の観点から,バイオマスタウンの実施規模の改善を提起した.これまでの費用便益分析や費用効果分析を援用した事業評価や政策評価に比べ,DEAを適用した場合,従来では見いだすことができなかった視点から事業の改善策や指針を示すことが可能になる点を指摘した.
  • 井芹 晴香, 平松 和昭, 原田 昌佳
    2011 年 79 巻 2 号 p. 97-107
    発行日: 2011/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    近年,混住化が急速に進行する筑後川流域を対象に,窒素・リンの流れを解明するため,多様な流域情報を考慮した分布型窒素・リン負荷流出モデルを開発した.その結果,各観測地点における河川流量およびTN・TPに関して,概ね良好に再現することができた.つづいて,開発したモデルを用いて,畜舎排水や処理浄化槽を対象とした排出負荷削減対策や,地形連鎖を利用した水田による水質浄化を想定したシナリオ分析を行った.その結果,土地利用形態により水質改善の傾向が異なることから,各地域における負荷排出の傾向の把握,ならびに,それに適した対策の実施が重要であることが確認できた.また,畜舎排水および水田の水質浄化機能に関するシナリオの削減率が非常に大きいことから,農業地域における対策の重要性が示唆された.
  • Yoshitaka YOSHITAKE, Noriyuki KOBAYASHI, Masayuki FUJIHARA, Tatsuro NI ...
    2011 年 79 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 2011/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    The soil rectangular blanket, whose design method has been already built up, is widely used as measures against the seepage from a reservoir of embankment dam or an irrigation tank on pervious foundation. This paper demonstrates an analytical solution of a seepage model for a triangular blanket and reveals that the analytical solution for the triangular blanket and the resultant solution for the seepage discharge can be successfully expressed by introducing the modified Bessel function of the first kind of orders 0 and 1. Compared with the seepage discharge of the model and the numerical solution by Boundary Element Method (BEM), the seepage discharge is shown to be accurate when the blanket length is practicable, though it is overestimated when the blanket length is relatively small. Moreover applying both the analytical solution of the model and the BEM solution to a large number of model cases, in each of which the length and the area (volume) of the triangular blanket are the same as those of the rectangular one, it is concluded that the triangular blanket is more effective against the seepage.
  • 近藤 美麻, 伊藤 健吾, 千家 正照
    2011 年 79 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 2011/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    2008年5月から10月にかけて岐阜県に位置するビオトープ池と隣接排水路,その間に設置された魚道において魚類を採捕し,イシガイ類幼生の寄生状況を調査した.その結果,イシガイ類幼生の主な寄生主は,イシガイおよびトンガリササノハガイではオイカワ,ドブガイおよびマツカサガイではヌマムツであった.また,魚道において採捕した魚類のうち,ビオトープ池から排水路への降下魚と排水路からビオトープ池への遡上魚におけるイシガイ類幼生の寄生状況を比較した結果,遡上魚よりも降下魚において平均寄生数が大きく,かつ,寄生幼生の総数も多い結果となり,ビオトープ池がイシガイ類の繁殖場所としての機能を持ち,周辺水域への分布域の拡大や個体数維持に貢献していることが示唆された.
  • 近森 秀高, 永井 明博
    2011 年 79 巻 2 号 p. 125-134
    発行日: 2011/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    空間分布型雨量データを用いた洪水比流量曲線導出の有用性を示すことを目的として,レーダー雨量を用いたDAD解析に基づいて洪水比流量曲線を推定する手法を示した.この手法を岡山県吉井川流域に適用し,レーダー・アメダス解析雨量を用いて得られた洪水比流量曲線は岡山を含む瀬戸内地域における既往最大洪水比流量をほぼ包絡することを示した.また,小規模流域において洪水比流量が過大推定される問題について面積最大雨量の空間的発生確率を用いて説明し,過去の雨量や流量に基づいて決定論的に定めた洪水比流量曲線を用いる場合であっても,この曲線が持つ確率的特性に留意する必要があることを示した.
研究報文
  • 福本 昌人, 吉迫 宏
    2011 年 79 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 2011/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    牧草作の転作田と不作付田が多い平地エリアを対象とし,ALOS衛星AVNIR-2データと水田区画データを用いて区画毎に水稲作付け判別を行った.まずAVNIR-2画像の各画素を教師なし分類法によって40クラスに分類し,次に各クラスを経験的に水稲作と非水稲作のいずれかに対応づけて2クラスに統合した.最後にそのクラス統合した分類画像に水田区画データを重ねて,分類結果を区画毎に集約して水稲作田を抽出した.面積1,000m2以上の区画についての判別精度は,衛星観測日の6月15日(水稲の分げつ前期),7月2日(分げつ後期),9月17日(成熟期),10月16日(収穫期)それぞれ99.0%,97.9%,95.4%,95.5%であった.誤判別の要因について,AVNIR-2データの地上分解能と位置精度および分光反射特性の類似性の面から考察した.
  • 足立 一日出, 大野 智史, 古畑 昌巳, 小倉 力, 谷本 岳
    2011 年 79 巻 2 号 p. 143-149
    発行日: 2011/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    重粘土転換畑における大豆畝立て栽培時の畝間の残水を迅速に排除するため,本暗渠と,本暗渠に直交したモミガラ簡易暗渠を縦型暗渠で連結し,その排水効果を評価した.その結果,施工後2年間,排水改良区の連続降水量に対する総暗渠排水量は,未施工区の総暗渠排水量に比べて大きく増加した.1年目のピーク1時間暗渠排水量も3mm/h前後の大きな値であった.2年目のピーク1時間暗渠排水量は,約2mm/hに低下した.暗渠排水の改良によって,鋤床上の湛水も素早く低下し,栽培期間中の湛水時間も大きく減少した.しかし,施工後3年目の排水改良区の排水量は大きく減少し,未施工区と同程度で,鋤床上の湛水時間も長期に及んだ.
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