抄録
ある閾値を超過するデータを対象とした極値理論であるPOT理論に基づいて,1981年から2010年の30年間に全国21地点において観測された日雨量データから確率日雨量を推定し,年最大値を対象とした従来の年最大値法による推定結果と比較して,POT理論による推定値の特性を調べた.POT理論の適用に必要な閾値を年最大日雨量の統計値を用いて標準化し,全21地点における閾値と確率日雨量の関係を総合的に検討した結果,確率年が短い場合は両手法による推定値に大差はないが,確率年が長い場合,とくに解析対象期間中の最大日雨量が2位以下に比べて著しく大きい地点で,両手法による推定値に大きな差が見られることが分かった.