抄録
ヤマメ稚魚の尾部の動きと遊泳速度の関係を調べるため,野外の魚道地点で長方形断面のスタミナトンネルを設置し,断面平均流速48~137cm·s-1で河川水を流して全長4.4~8.8cm(体長3.7~7.5cm)の稚魚を遊泳させた.解析には高速度カメラを用い,尾ひれの動きと振幅,尾ひれの振動数と遊泳速度の関係について検討した.その結果,ヤマメ稚魚の振幅と全長との比は,尾ひれの振動数や遊泳速度が増加してもほぼ一定でその値は0.12であった.ヤマメ稚魚は尾ひれを1秒間に20.8~39.1回振って泳ぎ,高振動数域でも遊泳速度との間に比例関係が認められ,遊泳速度と尾ひれの振動数に関する実験式を得た.