農業農村工学会論文集
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研究論文
水稲田におけるPenman-Monteithの簡略式による可能蒸発散量と実蒸発散量との関係
小谷 廣通
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2015 年 83 巻 3 号 p. I_73-I_81

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抄録
簡便な測定システムを用い, 湛水条件下の水田において信頼できる実蒸発散量を推定するために, まず, 熱収支フラックス比法による実蒸発散量とFAOのPenman-Monteith式を用いた可能蒸発散量との関係を検討した. この結果, 可能蒸発散量と実蒸発散量との間には, その比の値は月ごとで異なった値となるが, きわめて良好な比例関係が成立した. 次に, 水田の熱収支式において湛水の貯留熱変化量と地中熱伝導量を無視して適用したPenman-Monteithの簡略式による可能蒸発散量と, 熱収支ボーエン比法あるいは熱収支フラックス比法を用いて推定した実蒸発散量との関係を検討した. この結果, 生育前期と後期でその比の値は異なるが, 1日単位の両者の間にはきわめて良好な比例関係が成立した. 特に, 生育後期の比の値はきわめて1.0に近かった. 以上のことから, Penman-Monteithの簡略式による日可能蒸発散量から信頼できる日実蒸発散量が推定できると考えられる.
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© 2015 公益社団法人 農業農村工学会
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